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    <title>月の揺り籠</title>
    <description>ここは自分の好きな事をダラダラと物申すブログです、不定期ですが(苦笑)</description>
    <link>https://hiverlaurant.blog.shinobi.jp/</link>
    <language>ja</language>
    <copyright>Copyright (C) NINJATOOLS ALL RIGHTS RESERVED.</copyright>

    <item>
      <title>ちょ・・・</title>
      <description>&lt;font color=&quot;#ffcc00&quot;&gt;いや、マジで忙しい（苦笑）&lt;br /&gt;
&lt;/font&gt;お久しぶりの方も、そうでない方も、どうもこんばんわ、ハヤです。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
いやもう、何が忙しいってレポートがさ（笑）&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;font color=&quot;#ff9900&quot;&gt;キツイよ！！&lt;/font&gt;&lt;font color=&quot;#ff6600&quot;&gt;殺す気だよこれ！！！&lt;/font&gt;&lt;font color=&quot;#ff0000&quot;&gt;マジで！！！！&lt;br /&gt;
&lt;/font&gt;&lt;br /&gt;
まあ、そんな訳で、早く話しの方も進めたいのですが中々進められません。&lt;br /&gt;
特に待っている方もいないとは思いますが、UPはもう少しお待ちください。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
追記　ニコニコ組曲にはまり気味な俺（笑）&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
特に、
&lt;h1&gt;&lt;font size=&quot;1&quot;&gt;合唱 組曲『ニコニコ動画』-The Best Of Limited Edition Ver.Final-&lt;br /&gt;
合唱 組曲『ニコニコ動画』 グランドフィナーレ&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
は個人的ベストです。&lt;/font&gt;&lt;/h1&gt;</description> 
      <link>https://hiverlaurant.blog.shinobi.jp/%E8%BF%91%E6%B3%81%E5%A0%B1%E5%91%8A/%E3%81%A1%E3%82%87%E3%83%BB%E3%83%BB%E3%83%BB</link> 
    </item>
    <item>
      <title>第一章　　吟遊詩人と騎士　　九幕</title>
      <description>&lt;p&gt;一方、暗闇の森の中を進む一つの影があった。&lt;br /&gt;
　&lt;br /&gt;
「・・・無用心ですね・・・。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ティアである。&lt;br /&gt;
彼は図書館で得た地図を参考にしながら町を散策していると、スラム街の一角にある、シカンダと言う町全体を覆う城壁に大きな穴があることを発見した。&lt;br /&gt;
興味を抱いたティアはその穴から外へと踏み出すと、そこに広がっていたのは大きな森だった。&lt;br /&gt;
スラム側の外は森で覆われており、それはどこか深遠に続くような雰囲気さえある。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;（・・・幾らスラム街とはいえ、こんなところにあのような穴が在ってはモンスターによる危険が増えるかもしれないと言うのに・・・）&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ティアは心の中でシカンダと言う城下町の危惧を抱きつつ、森の中の散策を続けた。&lt;br /&gt;
森は月明かりが少し差し込む程度でかなり薄暗い。&lt;br /&gt;
そんな中、ティアはふと足下に不審な物を発見した。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「ふむ・・・これは・・・。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;屈んでソレを注視する。&lt;br /&gt;
やがてソレが、危惧していたうちの一つである事に気がついた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「この足跡は・・・ゴブリンですね・・・。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ゴブリン・・・餓鬼の一種であり、あまり知識は無いものの繁殖力と集団行動力が高く、ある程度の注意が必要なモンスターである。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;（・・・かなりの数ですね・・・これは・・・。）&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ティアは足跡の数からおおよその数を割り振った。&lt;br /&gt;
不審・・・それに尽きた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;（スラム街の穴・・・だと言うのに、本能で動くゴブリンが町に侵入しないとは・・・）&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;どう考えても不自然な事だった。&lt;br /&gt;
ティアはアゴに手を当てて声を漏らした。&lt;br /&gt;
そろそろ戻ろうと思い、足をシカンダへと向けようとしたところで&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;『ガサガサガサガサ・・・！！！』&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;大きく揺れる木々の轍と足音を聞き、ティアはすぐさま近くの茂みに身を潜めた。&lt;br /&gt;
やがて、ティアの目の前に何かが入った、少し大きめの布袋を肩に担いだ男達が現れた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「おい、ここいらだよな？」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「ああ、多分な。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;男達が何事か囁きあっているのを、ティアは聞く。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「おい。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「おう。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;三人組みの男の内、一人が持っていた布袋をその場に置くと、男達は一目散に逃げていった。&lt;br /&gt;
ティアは気配が去るのをじっくり待ってから、体を起こした。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;（・・・一体なんでしょうか・・・？）&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;布袋の前まで歩くと、その布袋がもぞもぞと動いてる事に気がついた。&lt;br /&gt;
ティアは布袋の紐を解き、中に入っていたモノを外へと出した。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「ん～！！んん～～～～～！！！」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;中に入っていたのは猿轡をされ悶えている、まだ幼い少女だった。&lt;br /&gt;
よほど怖かったのであろう、その目からはボロボロと涙がこぼれている。&lt;br /&gt;
ティアが猿轡を解こうと手を伸ばすと、少女はビクッ・・・と体を震わせて後ずさった・・・だが、腰が抜けているのか、お知りをもぞもぞとさせてるだけであった。&lt;br /&gt;
ティアは、少女が自分に怖がっている事を察すると声を出した。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「ご安心ください、私は貴女を襲いはしませんよ。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;綺麗に透き通った声が少女の耳に入る。&lt;br /&gt;
不思議なまでに説得力のあるその声に、少女は目を見開いたままポカン・・・としている。&lt;br /&gt;
その場には、余りにも似つかわしくないほどの穏やかな声が・・・その微笑が少女の心を落ち着かせた。&lt;br /&gt;
体の力が抜け、自然とリラックスした状態となる。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「今、縄を解いて差し上げます。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ティアはそう言うと、少女を縛っていた縄や猿轡を解いてあげた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「あ・・・。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;少女は自分の拘束が解かれていることに驚いたのか、声を漏らした。&lt;br /&gt;
その様子にティアは微笑みながら声をかけた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「お怪我はありませんか？」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「ふえ・・・あ・・・うん・・・大丈・・・っ！」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;少女は慌てて立とうとしたところで、足に走る鈍い痛みに顔を歪めてその場に尻餅をついた。&lt;br /&gt;
ティアはソレを見ると、少女が手で押さえている右足を見据えた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「・・・見せていただけますか？」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「うん・・・。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;少女が手を離すと、その部分が露わとなった。&lt;br /&gt;
少女の右足・・・くるぶしから付け根にかけて、可哀想なくらい赤く腫れているのが見て取れた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「ふむ・・・足を挫いていますね・・・よし。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ティアは「うん」と頷くとコートのポケットの中から小さな金属の筒を出した。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「何・・・するの？」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;少女が不思議そうにティアを見つめる。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「ふふ・・・これから起きますは種も仕掛けも御座います、不思議な出来事で御座います・・・どうぞご堪能あれ。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;芝居がかった言葉を言い、ティアは少女に金属の筒を少女の手に優しく握らせた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「・・・？」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「それでは始めましょう・・・さあ、まずはゆっくりと目を閉じてください。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;少女は言われるがままに目を閉じた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「では、今までで楽しかった事を思い出してみてください。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;少女は、やや沈黙していたが、やがて「うん」と頷いた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「その思い出を、今、あなたの手の中にあるモノに心の中で話してみてください・・・。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;少女は言われるがままに、手の中のモノに今まで楽しかった事・・・友達と遊んだ事、美味しい物を食べた事・・・色んな事を語りかけた・・・すると&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「・・・何か・・・暖かい・・・。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;手の中が暖かかった・・・ティアの手が自分の手に重なっている所為ではない・・・まるで、手の中にあるものが熱を放ってるかのように暖かかった。&lt;br /&gt;
だが、決してソレは扱ったりするようなものではなく、まるで誰かが包んでくれるような・・・そんな温もりみたいであった。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「ふふふ・・・それでは、ゆっくりと目を開いて見てください。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;目の前からティアの声が響く・・・少女はゆっくりと目を開け、暖かさが溢れる自らの手を見た。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「ふわぁ・・・！！」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;手の中から優しい空色の光が溢れているのを少女は見た。&lt;br /&gt;
手のひらを開くと、そこには小さな小さな笛があり、それがその光を出していた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「・・・足の方はどうでしょうか？」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「えっ？」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;少女はティアの声を聞き、痛めた足を思い出す・・・が、予想外の事が起きた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「あっ！痛くない！！」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;少女は立ち上がり、ジャンプしたり、ティアの周りを走ったりした後、ティアの前に立った。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「あ、私、アミィ！お兄ちゃんは？」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「私はティアと申します、よろしく、アミィさん。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「うん！！」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;アミィの中でティアに対する疑念は無くなり、笑顔を振り撒いている。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「あ・・・お兄ちゃん、これ・・・。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;アミィは先ほどから握り締めていた笛をティアに返そうと差し出した。&lt;br /&gt;
気がつけば、そこには先ほどのような光は無く、唯の笛へと戻っていた。&lt;br /&gt;
ティアは、アミィを見つめると、首を横に振った。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「よろしければ、その笛はアミィさんに差し上げましょう。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「ほんと！？ありがとう、大事にするね！！」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「ははは・・・その方が『笛』も喜ぶでしょう。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「笛が・・・？・・・どういうこと？」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「それは―――――――――」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;『ガサガサガサガサ！！』&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ティアがアミィの問いに答えようとした所で邪魔が入った。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;（・・・この感じ・・・。）&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ティアはアミィと視線を合わせていたが、今の事態を理解し、スッと立ち上がった。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「ガァァ・・・！」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「グゥゥ・・・！！」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;闇の中に溢れる、爛々と輝く幾多の目。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「お兄・・・ちゃん・・・！」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;アミィがか細く呟きながら、ティアにしがみ付いた。&lt;br /&gt;
ティアはそんなアミィを優しく抱えあげた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「しっかり掴まっていてくださいね？」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「・・うんっ！！」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ティアの微笑に勇気付けられたのか、わずかに力強く頷く。&lt;br /&gt;
ティア自身は、周りの気配を読みつつ、それらの正体に気がつく。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「・・・ゴブリンですか・・・。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;（数は十数匹・・・この距離なら・・・）&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ティアは片手で器用にコートの中から細長い葉っぱを一枚取り出した。&lt;br /&gt;
それをおもむろに唇の当てると、ティアはそっと息を吐いた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;『―――――――――――――――――――――。』&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ティアの手によって奏でられる旋律。&lt;br /&gt;
その音色はとても高い音で・・・だが、その中にも何か鮮烈な物を感じさせる音色だとアミィは感じた。&lt;br /&gt;
大気すら振るわせる、その高い音に異変はすぐは起きた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「ガッ！！」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「ゲッ！！」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ゴブリンたちが一斉に苦しみだしたのである、一様に耳を塞ぎのたうち始めるのをアミィは見た。&lt;br /&gt;
ティアはその瞬間を見逃さなかった、片腕にアミィを、もう片手に草笛を持ち、ゴブリンに向かって走り出したかと思うと、アミィの視界が『逆転』した。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;『ヴァサァッ！！』&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;月を背にティアは宙返りをしていた。&lt;br /&gt;
アミィは上に地面があると言う不思議な感覚を呆然と見ていた。&lt;br /&gt;
やがて視界が元に戻り、ティアは音すらなくその場に着地した。&lt;br /&gt;
アミィが見渡せば、ゴブリンたちの包囲網を抜けていた。&lt;br /&gt;
だが、ティアはそこで止まらない。&lt;br /&gt;
行き着く間も無く、ティアは走り出していた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「グ・・・ガァッ！！」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ティアの奏でていた音が途切れた事によってゴブリンは復活し、ティアの後を追って走り出した・・・。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　　　　　　　　　　　　　　　・&lt;br /&gt;
　　　　　　　　　　　　　　　・&lt;br /&gt;
　　　　　　　　　　　　　　　・&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「・・・む、騒がしいですね・・・。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;シルヴィーがスラム街の中を警備し、丁度、城壁の大穴の所に差し掛かった所で、外の様子がおかしい事に気がついた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「・・・。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;シルヴィーは目を凝らし、穴の向こうを見つめる・・・そして&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「・・・な！？」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;それを見た。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;（人・・・追われている！？）&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;さらに目を凝らせば、走ってくる者が子どもを抱えて走っている事に気が着く、だが、それよりも気にすべきなのは追っている者・・・ゴブリンの群れであった。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「こっちです！早く！！！」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;シルヴィーは追われている者達のほうへ走り出しながら叫ぶ。&lt;br /&gt;
その声に気がついたのか、追われている物がシルヴィーの方へまっすぐ走ってきた。&lt;br /&gt;
そして・・・その姿を月明かりが照らし出した。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「貴女は・・・昼間の！？」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「シルヴィーさん！しばし後ろをお願いします！！」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ティアはそう言うとシルヴィーの横を走り抜けた。&lt;br /&gt;
すれ違いざまに、詩人・ティアが子どもを抱きかかえている事に気がつく。&lt;br /&gt;
その子を安全な所へ連れて行く気だということを悟り、シルヴィーは目の前の『敵』に意識を集中させる。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「・・・任されました！！」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;シルヴィーの手が自然に腰の刀へと伸びる、ゴブリンたちが自分に向かって走ってくるのを黙認しながら、さらにシルヴィーは意識を集中させる。&lt;br /&gt;
やがて、シルヴィーの目の前にまで迫ったゴブリンは無骨な棍棒を片手に振り上げながら、シルヴィーの眼前へと振り下ろされ&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「・・・セェェイッッ！！！」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;烈なる叫びと共に刀が鞘からほとばしった。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「！！！？」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;その居合と呼ばれる技法によって、棍棒ごと体を切り裂かれたゴブリンは声すら上げる間も無く絶命する。&lt;br /&gt;
シルヴィーはそのまま返す刃で、横に回りこんできたゴブリンを斬り裂く。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;『ウォーーーーーーーーーーー！！！！』&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ゴブリンたちの怒号が殺到した。&lt;br /&gt;
シルヴィーの目が細まり、その場にいる敵を全て捕捉する。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「フン！！」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;シルヴィーは襲い掛かるゴブリンを物ともせず、確実に斬り殺していく。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;『ザンッ！！』&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;棍棒ごと斬り裂くシルヴィーは、正しく鬼神のようであった。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「ハァァッ！！！」&lt;br /&gt;
（赦さない）&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;シルヴィーの刀が唸り、二匹同時に切り裂く。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「デェェイ！！」&lt;br /&gt;
（赦さない！）&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;目の前が赤くなるほど、我武者羅に斬り捨てる。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「タァァァッ！！」&lt;br /&gt;
（絶対、赦さない！！）&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;斬り屠る度、シルヴィーの心の中に憎悪が蘇る。&lt;br /&gt;
未だに焼き付いて消えない、記憶の奥に深く刻まれた傷。&lt;br /&gt;
絶える事の無い悲鳴と断末魔・・・燃え盛る町と乱舞する化け物の群。&lt;br /&gt;
自分を責めたてる罵声と暴力・・・拒絶の眼差し・・・あらゆる生き物の死骸。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そして、無残に喰い散らかされた・・・お　さんの死た――――――――――――――&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「うわぁぁぁぁあああぁぁぁぁぁあアアァああァァアぁぁぁああああああああああああぁぁぁああぁぁあぁあああぁぁぁぁぁあああっっっ！！！！！！！！！！」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;記憶と現実が判別できない。&lt;br /&gt;
目の前にいる奴は何だ？&lt;br /&gt;
目の前にいる、この化け物は何だ？&lt;br /&gt;
コイツだ・・・コイツらが・・・コイツらがぁぁぁ！！！&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;シルヴィーは刀をゴブリンの腹に突き刺すと、刃を上に向かせジャンプする勢いでゴブリンを真っ二つにする。&lt;br /&gt;
その勢いを殺さず、前に飛びぬけると、ゴブリンの群れの中で惨殺と言う名の舞を踊る。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;意識が保てない、それほどまでにシルヴィーの憎悪は激しい物だった。&lt;br /&gt;
シルヴィーは次々と増えるゴブリンの群れを、増える端から斬り屠っていく。&lt;br /&gt;
だが・・・限界は訪れた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「はああああぁぁぁぁあああぁあぁぁぁあああ！！！」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;シルヴィーが大きく刀を振り上げ目の前のゴブリンを切り裂く・・・その動作が盲点だった。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「ガアア！！！」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ゴブリンが切り裂かれた仲間を踏み台にしてシルヴィーに襲い掛かったのである。&lt;br /&gt;
その手には錆びたナイフが握られている。&lt;br /&gt;
咄嗟に正気に戻る・・・が遅い。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;（しまっ・・・・！！）&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;殺される・・・その恐怖が身をこわばらせ・・・『それ』が起きた&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;『～～～～～～～～～～～～～～～♪』&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;甲高い音が鳴り響いた。&lt;br /&gt;
その音に襲い掛かろうとしたゴブリンが倒れ伏す。&lt;br /&gt;
それどころか、周りにいるゴブリンたち全員が耳を押さえ呻き声をあげた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;『～～～～～～～～～～～～～～～♪』　&lt;font color=&quot;#808080&quot;&gt;（チリン）&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;のた打ち回るゴブリンたちは一斉に立ち上がると、一目散に森の中へと逃げていく・・・その様子を呆然とシルヴィーは見ていた。&lt;br /&gt;
やがてシルヴィーは、その音に助けられた事を悟り、音の発生源・・・自分の背後へ振り向いた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「・・・あ・・・・。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そこに『それ』はいた。&lt;br /&gt;
輝く銀色のフルートを奏でる、不思議な詩人・・・。&lt;br /&gt;
その手によって奏でられる旋律が、シルヴィーの荒れ狂った全てを洗い流していく・・・それは、本当にいとも簡単に吹き飛んでしまい、シルヴィー自信が驚くほど出る。&lt;br /&gt;
月明かりに照らされ、銀色のフルートを奏でる詩人・・・どこか幻想的な光景にシルヴィーは魅入ってしまっていた。&lt;br /&gt;
やがて詩人・ティアはゴブリンたちの気配が完全に途絶えたのを確認すると、フルートをコートの中にしまい、半ば放心状態ともいえるシルヴィーの前に立った。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「助けていただきありがとう御座います、お怪我はありませんか？」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「・・・。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;返事が無い事に不審に思ったティアは、もう一度声を掛けた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「・・・シルヴィーさん？」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「・・・え？あ・・・・。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;正気に戻ったのか、シルヴィーは焦点がティアに合わさる。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「助けていただき、本当にありがとう御座います。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「あ・・・いや・・・。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;シルヴィーは言葉を濁した。&lt;br /&gt;
と言うのも、シルヴィー自身、最初は二人を救うために戦おうとした訳だが、ゴブリンを見た瞬間そんな感情が吹き飛び、ただ復讐のためだけに戦ったと言うこと。&lt;br /&gt;
純粋にお礼を言われた事は嬉しい・・・だが、事実のその裏には私的な感情があり、結果的に言えば二人を復讐の道具にしたことにも繋がる事がただ悲しかった・・・。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「ティア殿・・・いえ、私はお礼を言われるほどの事は・・・していません・」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;それほど立派な感情で動いた訳ではない・・・そう心の中で呟き、喜びや嬉しさを封じ込める。&lt;br /&gt;
だが、そんなシルヴィーにティアは微笑んだ。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「結果として、私達は助けられました・・・これは、感謝すべき事ですよ。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「――――――――――――。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;言葉を失う・・・余りにも真っ直ぐな言葉に思わず目線をそらす。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「お怪我はありませんか？」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ティアのその言葉が、シルヴィーの中で爆発した。&lt;br /&gt;
自分が心配された・・・【死神】と・・・【異端者】と言われた自分が・・・。&lt;br /&gt;
その事実はシルヴィーの顔を真っ赤にするには十分すぎるほどの物だった。&lt;br /&gt;
はたから見ても真っ赤な事が分かる程、シルヴィーは顔を真っ赤にしながら慌てたように口を開いた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「い、いえ！大丈夫です、ご、ごごご心配なく！！！」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;動揺の余り声がドモっている・・・無性に恥かしくなり、シルヴィーはそっぽを向いた。&lt;br /&gt;
普段余り感情を表に出そうとしないシルヴィーだが、今回のは例外中の例外だった。&lt;br /&gt;
彼女にとって『心配される』というのは、この十数年間、殆んど無く、とっくに忘れているような物だった。&lt;br /&gt;
それ故に、どう対処していいのか分からず、ふいっと顔をそむける。&lt;br /&gt;
心の中で必死に、子どもの頃はどうしていたかなどを思い出そうとする辺りが、混乱の極みである事に本人は気づいていない。&lt;br /&gt;
やがて、どうしようもなくなったシルヴィーは真っ赤になった顔をうつむけ、聞こえるか聞こえないかの瀬戸際で・・・か細く・・・そして小さく・・・本当に小さく&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「・・・ありがとう。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;と呟いた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;第九幕　　　　　　　了&lt;/p&gt;</description> 
      <link>https://hiverlaurant.blog.shinobi.jp/%E9%BB%8E%E6%98%8E%E5%B9%BB%E6%83%B3%E6%9B%B2/%E7%AC%AC%E4%B8%80%E7%AB%A0%E3%80%80%E3%80%80%E5%90%9F%E9%81%8A%E8%A9%A9%E4%BA%BA%E3%81%A8%E9%A8%8E%E5%A3%AB%E3%80%80%E3%80%80%E4%B9%9D%E5%B9%95</link> 
    </item>
    <item>
      <title>第一章　　吟遊詩人と騎士　　八幕</title>
      <description>&lt;p&gt;今回は多少暴力的表現があるので、カバーをさせていただきました。&lt;br /&gt;
お読みの際は反転してください。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;（暑い・・・本当に蒸し暑い夏の夜・・・私は・・・はじめて人を殺しました・・・。）&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;シルヴィーはただ自分の身の安全の為に・・・生き残るために騎士団へと入った。&lt;br /&gt;
そして、そこでの身の保障を得るために、現・国家に異を唱える者を斬る仕事についた・・・。&lt;br /&gt;
無論・・・最初に人を切り殺した日を・・・その恐怖を忘れはしない・・・押しつぶされるような罪悪感を・・・。&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;――――――――――――――――無我夢中だった&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;相手の事を配慮するなんて微塵も出来なかった・・・。&lt;br /&gt;
ただ必死に、手にもった父と母の形見である刀を振り回し・・・激痛にのた打ち回る男に向かって振り降ろした・・・それをすれば・・・一体どうなるのかも分からずに・・・唯。唯、滅茶苦茶に刀を振り下ろした。&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;『バシュ！ジュグ！！ギヂィ！！！』&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;耳に障る、不快な音が夜の帳に響いた・・・。&lt;br /&gt;
だが、シルヴィーの耳には、その男の凄まじい悲鳴も不快な音も何も聞こえなかった・・・。&lt;br /&gt;
やがて・・・手汗で刀が自らの手から滑り落ち、大きな金属音を立てた。&lt;br /&gt;
その音にハッとするように、シルヴィーは我に帰った。&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;（わ・・・私・・・一体・・・何を・・・？）&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;呆然とその場に立ち尽くす・・・&lt;br /&gt;
次第に意識がハッキリしてくるにつれ、自分の足元に転がる『ナニカ』に気づいた&lt;br /&gt;
その『ナニカ』は動く事無く、ただ、生暖かい液体に浸っている。&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;（私は・・・何を・・・仕事をしろと言われて・・・知らない家に入って・・・刀を）&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;―――――――――――――――え？&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;何かに引っかかった。&lt;br /&gt;
刀を・・・どうした？&lt;br /&gt;
自分は刀をどうしたと言うのだ？&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;（刀を・・・振り回し・・・て？）&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;不意に目線が下に硬直する。&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;（ダメ・・・・ダメ・・・・）&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;本能がソレを見るなと警告する・・・だが、それと裏腹に瞳はそれを捉えて離しはしなかった。&lt;br /&gt;
足下に転がるナニカから目が話せない・・・&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;（これは・・・・これ、は――――――――――――――――）&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;「――――――――――――っっっ！！？」&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;理解した途端、強烈な嘔吐感が自分を襲った。&lt;br /&gt;
膝をつき胃の中にある物を全て吐き出した。&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;「～～～～ッッ！！グッゲホッ！うぇ・・・っ！！！」&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;吐き気は一向におさまらない、胃の中の物は何も無いと言うのに吐き出す動作を内臓が繰り返す。&lt;br /&gt;
足下に転がっていた物・・・・それは、つい今の今まで自らの手足で動き、自らの意思を持った一つの命を宿していた者・・・。&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;『ガチ・・・ガチガチガチ・・・！！』&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;手が・・・口が震え、歯が噛みあわず音を鳴らす。&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;（殺・・・した・・・わたしが・・・・この手で・・・）&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;ちらりと見やれば、無造作に転がる刀が目に入った。&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;（この刀で・・・殺・・した・・・！！）&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;刀を手に持ち胸に抱きこんだ。&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;（お母さん・・・お母さん、お母さん！！！）&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;形見である刀にすがり、ただ泣き続ける。&lt;br /&gt;
そうして震える中・・・シルヴィーの視界の端に丸い物を見つける・・・。&lt;br /&gt;
それは・・・『目』と言う人間のパーツ・・・。&lt;br /&gt;
そのパーツと目が合った瞬間・・・シルヴィーはそこから逃げ出した・・・・。&lt;br /&gt;
　　　　　　　　　　　　　　&lt;br /&gt;
　　　　　　　　　　　　　　　・&lt;br /&gt;
　　　　　　　　　　　　　　　・&lt;br /&gt;
　　　　　　　　　　　　　　　・&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;あのときに比べたら、自分は人を斬ることが平気になったと感じる。&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;そして・・・自分の５７番目のターゲット・・・それが、レイドの父親だった・・・。&lt;br /&gt;
　　　　　　　　　　　　　　&lt;br /&gt;
　　　　　　　　　　　　　　　・&lt;br /&gt;
　　　　　　　　　　　　　　　・&lt;br /&gt;
　　　　　　　　　　　　　　　・&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;ターゲットは北方の国から来た子連れの男だった・・・。&lt;br /&gt;
シカンダ王国の新王に反旗を翻す為に動くレジスタンスに補給物資を届ける元締めである男だった。&lt;br /&gt;
この時点で、シルヴィーは人を殺すと言うことに慣れ始めていた・・・。&lt;br /&gt;
そう・・・慣れてしまった・・・。&lt;br /&gt;
はじめの頃は、殺した者達が化けて出てきて、逆に取り殺されると言う内容の夢に苛まれていたが・・・そう言ったことも殆んど無くなっていた。&lt;br /&gt;
そう・・・人は慣れる・・・例え、それがどんなことであろうとも・・・。&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;夜・・・シルヴィーは宿に忍び込み、護衛の者を使命を上げる間も無く気絶させ、中へと押し入った。&lt;br /&gt;
ターゲットである男・・・ハイドンは急に入ってきた闖入者に怯えた&lt;br /&gt;
それは、当然のことであろう・・・。&lt;br /&gt;
いきなり、刀を持った者が忍び込んできたのだから、驚かない方がおかしい。&lt;br /&gt;
ハイドンは壁にかけてあった剣を手に取り・・・・&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;『バシュ！！！』&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;その隙を突かれ、腕を切り落とされた&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;「がぁぁぁぁぁぁぁっっ！！！」&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;悲鳴をあげてのた打ち回る・・・シルヴィーは一歩、また一歩と・・・止めを刺すために歩み寄る。&lt;br /&gt;
そして、ハイドンを殺そうと刀を再び構えたところで&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;「とう・・・さん・・・？」&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;「ッ、レイ・・・ド！！！」&lt;br /&gt;
　　　　　　　　　　　　　　&lt;br /&gt;
後ろで、ハイドンの子どもが倒れるのをシルヴィーは見た。&lt;br /&gt;
大量の血を見たのだ・・・それが当然とシルヴィーは思った。&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;「っく・・・！！」&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;ハイドンはシルヴィーを睨みつけ、シルヴィーはそれを真っ向から受止める。&lt;br /&gt;
命乞いでもするのか・・・と思っていた・・・だが、それは見当ハズレだった。&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;「た・・・頼む・・・あの子を殺さないでくれ・・・！！」&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;「・・・え？」&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;この時、ようやくシルヴィーは人間らしい声を出した。&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;「あの子は・・・この仕事には関係無い・・・！！見逃してやってくれ・・・！！」&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;「・・・・。」&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;シルヴィーは応えない・・・見逃しても良い・・・だが、この国で子どもが一人で生きていけるはずが無い・・・ならば、いっそこの場で殺してやってほうが楽になる・・・とそう思っていた・・・だが、ハイドンは&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;「その子を・・・頼む・・・殺し屋に頼むなんて・・・おかしな事かも知れん・・・だが・・・その子は私の大切な一人息子なのだ・・・頼む・・・たの・・む！！」&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;倒れた子どもを見やる・・・&lt;br /&gt;
その幼き子どもを見ながら、自分を照らし合わせた・・・。&lt;br /&gt;
泣き叫ぶ自分・・・労苦の連続・・・生きるか死ぬかの世界・・・&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;（私は・・・自分と同じ存在を・・・）&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;自分が生きるために自分は自分と同じ目に・・・何人もの人を・・・子どもを不幸にしてしまっていた・・・。&lt;br /&gt;
その事実が、自分の心に深々と突き刺さった。&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;「頼む・・・たのむ・・・！！」&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;（・・・子どもに罪は無い・・・そう・・・これは私の・・・）&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;思えば、シルヴィーは自然と口を開いていた。&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;「・・・殺しはしません・・・貴方を殺した『罪』は私が背負います。」&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;「・・・・。」&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;ハイドンはその言葉を聞き、どこか安心したかのような目をした&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;「そ・・・う、か・・・・。」&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;呟き、事切れた。&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;「・・・。」&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;シルヴィーはそれを静かに見届けると、持っていた紙で刀の血を拭き取り鞘に収めると、レイドのもとへ歩み寄る。&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;（私が・・・この子を守ります・・・この子は・・・私の・・・。）&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;　　　　　　　　　　　　　　&lt;br /&gt;
　　　　　　　　　　　　　　　・&lt;br /&gt;
　　　　　　　　　　　　　　　・&lt;br /&gt;
　　　　　　　　　　　　　　　・&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;そうして、シルヴィーの家にレイドが来た。&lt;br /&gt;
レイドが起き、すこし落ち着かせたところで、全てを話した・・・。&lt;br /&gt;
自分の仕事、殺した訳、ココに連れてきた理由・・・その全てを。&lt;br /&gt;
レイドは以外にも冷静だった・・・年の割りに成熟してるのか・・・はたまた我慢をしてるだけか・・・。&lt;br /&gt;
しかし、レイドは自分を許さないと言った・・・父のために生きて、そして、父を殺した自分を許さないと静かに・・・しかし強く言った・・・。&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;次に、ウィルが来た。&lt;br /&gt;
ウィルの母親は亡国の間者であり、自分以外にも様々な暗殺者に狙われている存在だった。&lt;br /&gt;
そのウィルの母親を、一切の油断無く、シルヴィーは斬り伏せた・・・その姿を、自分の後ろに隠れてついてきたレイドも見ていた・・・。&lt;br /&gt;
レイドは自分を見届けると言った・・・いつか誰かに殺されるのを・・・見届けると、そう言った。&lt;br /&gt;
その後、その部屋に自分と同じく、女性を殺しに来た暗殺者が来た・・・一家そのものを殺せと命令されたのだろう、その暗殺者はすぐ傍で眠っているウィルを殺そうとした・・・。&lt;br /&gt;
自分は・・・その暗殺者を切り殺した。&lt;br /&gt;
その行動に驚いたウィルは、思わず自分に聞いてきた・・・。&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;「なんで・・・。」&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;自分は正直に応えた・・・ありのままの自分の心を。&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;「この子は・・・私の【　】ですから・・・。」&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;レイドはそれを聞いて暫く黙りこくった・・・やがて、顔を上げるとレイドは口を開いた。&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;「・・・貴女を決して僕は赦さない・・・けど、貴女がそうやって背負いながら生き続けるのなら・・・僕は・・・」&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;その言葉を聞いた・・・自分の事をまっすぐに見ながら、レイドは・・・&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;「　　　　　　　　　　　　　。」&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;font style=&quot;BACKGROUND-COLOR: #000000&quot; color=&quot;#000000&quot;&gt;そして・・・その時改めて誓った。&lt;br /&gt;
この子達を・・・まもりつづけよう・・・と。&lt;/font&gt;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　　　　　　　　　　　　　　&lt;br /&gt;
　　　　　　　　　　　　　　　・&lt;br /&gt;
　　　　　　　　　　　　　　　・&lt;br /&gt;
　　　　　　　　　　　　　　　・&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;最後の一口、お茶をすする。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;（・・・さて、見回りの時間です。）&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;食器を洗い、シルヴィーは外へ出た。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;br /&gt;
第八幕　　　　　　　了&lt;/p&gt;</description> 
      <link>https://hiverlaurant.blog.shinobi.jp/%E9%BB%8E%E6%98%8E%E5%B9%BB%E6%83%B3%E6%9B%B2/%E7%AC%AC%E4%B8%80%E7%AB%A0%E3%80%80%E3%80%80%E5%90%9F%E9%81%8A%E8%A9%A9%E4%BA%BA%E3%81%A8%E9%A8%8E%E5%A3%AB%E3%80%80%E3%80%80%E5%85%AB%E5%B9%95</link> 
    </item>
    <item>
      <title>第一章　　吟遊詩人と騎士　　七幕</title>
      <description>&lt;p&gt;『ボフッ！』&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ドアを開けて次に起きた事は、小さな影が自分の胸に飛び込んできたことである。&lt;br /&gt;
当然の事ながら、あまりの不意打ちにシルヴィーはよろめき&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「わっ・・・きゃ！」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;『ドン！！』&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;買ってきたパンを落とさないようにバランスをとったが、そっちに気が行ってしまった為か、尻餅をついてしまった。&lt;br /&gt;
パンは落ちつずにすんだが、体に走る鈍痛にシルヴィーは顔をゆがめた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「っ・・・いたた・・・。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;片手でお尻をさすり、小さな影を見やるとシルヴィーは口を開いた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「こら、『ジュリ』！？いきなり飛びついたら危ないって、いつも言ってるでしょう？」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;小さな影の正体はジュリという名の小さな女の子だった。&lt;br /&gt;
ジュリはシルヴィーの顔を見上げると、ニカッと笑い、さらに抱きついてきた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「えへへ！お姉ちゃんお帰りなさい！！」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;反省の色は全く無しですか・・・と思わずこめかみに手を当てるシルヴィー。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「ああ！！ジュリばっかずるい！！」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;尻餅を着いたシルヴィーに、更なる負荷が重なる。&lt;br /&gt;
思わず「うわっ」と声を出した。&lt;br /&gt;
男の子はジュリの上から覆い被さるようにシルヴィーに抱きつくが、むしろそれは乗っかっているといった方が正しいかもしれない。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「うぁ！？ちょっ・・・ウィル、重いよ！？」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「え～！だってジュリばっかずるいじゃんか！？」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;自分の上に乗っかる形で、喧嘩をし始める小さな子ども二人を見ながら、シルヴィーは溜息をついた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;（やれやれ・・・またですか。）&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;心の中でぼやくと、自分の目の前に居る二人の子どもを見る。&lt;br /&gt;
自分の家に住まう、『五人』の子どものうち、最年少の二人組み。&lt;br /&gt;
年が近いのもあってか、二人は仲が良く、その分よく喧嘩もするし、すぐ仲直りもする・・・そんな二人だった。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「・・・さて、と。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;シルヴィーはジュリとウィルを自分から降ろし、立たせた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「シルルとウェイクとレイドは？」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;他、三人の事を二人に聞くと、ウィルが手を上げた。&lt;br /&gt;
その姿、まるで先生と生徒のようでもある。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「シルル姉ちゃんは裏に居る、ウェイク兄とレイド兄は仕事からまだ帰ってない。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「ふむ・・・では、もうすぐ帰ってきますね・・・よし、ご飯を作ります、手伝ってくれますか？」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ジュリとウィルは互いに顔を見合わせると「うん」と頷き&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「「りょーかい♪」」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;揃って、シルヴィーに敬礼をした。&lt;br /&gt;
その姿が何故か面白く見えて、シルヴィーはクスリと吹き出した。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　　　　　　　　　　　　　　　　　・&lt;br /&gt;
　　　　　　　　　　　　　　　　　・&lt;br /&gt;
　　　　　　　　　　　　　　　　　・&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;シルヴィーは鎧を脱ぎ、壁にかけ普段着に着替えると台所にて、ジュリとウィルが水で洗った野菜を包丁で綺麗に刻んでいく。&lt;br /&gt;
しばらくすると、洗濯物をたたんでいたのか、シルルがやってきた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「あ、お姉ちゃんお帰りなさい！」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;シルルはシルヴィーに気づくや否や、笑顔で挨拶し駆け寄ってきた。&lt;br /&gt;
シルヴィーは首だけそちらへ向ける&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「ええ、ただいま。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「夕ご飯作ってるんだ、私も手伝うけど何か出来ること在る？」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「では、スープの方の味付けをお願いします。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「ん、わかった。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　　　　　　　　　　　　　　　　　・&lt;br /&gt;
　　　　　　　　　　　　　　　　　・&lt;br /&gt;
　　　　　　　　　　　　　　　　　・&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;夕ご飯の準備もほぼ終り、後は盛り付けを残すのみとなった頃、最後の二人が帰ってきた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「ただいま、姉さん。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「うへぇ～・・・つっかれた・・・。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;物腰穏やかなレイドと面倒臭がりなウェイクの帰還だった。&lt;br /&gt;
二人は港で働いており、今日のような時間に変えることが多い。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「ウェイク兄ちゃん・・・じじくさ～い・・・。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「あ、あにおぅ！！」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そんなウェイクをからかうジュリ、そしてそれに反応するウェイク&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「えへへ！ココまでおいで～！！」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「こんの餓鬼～！！」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;年相応の子どものようにウェイクも走るジュリを追い掛け回す。&lt;br /&gt;
部屋の中をバタバタと走り回る子どもを見ながらシルヴィーは&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「こら、室内で喧嘩しない。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;と、母親が子を叱るように言った。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　　　　　　　　　　　　　　　　　・&lt;br /&gt;
　　　　　　　　　　　　　　　　　・&lt;br /&gt;
　　　　　　　　　　　　　　　　　・&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;深夜、子供達が寝つくと、シルヴィーはお茶をいれ一息ついた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「・・・ふぅ。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;（今日も一日・・・無事に過ごせました。）&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;お茶を一口すすり、お茶請けに置く。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;『カチャ・・・』&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;陶器と陶器が当たる音が夜中に響く。&lt;br /&gt;
その闇の中に一人で居ると、どうしても心が竦む。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;（一人・・・ですか・・・。）&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;常に傍に置いてある刀を手に取り、昼間を思い出す。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;（守るべき物・・・ですか・・・・。）&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;シルヴィーの頭によぎるのは、今もこの家で安らかに過ごす子供達の姿。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;（・・・最初は・・・レイド・・でしたね。）&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;このシルヴィーの家に住んでいる５人の子ども達は、シルヴィーの家族でもなければ、その子達が兄弟という訳でもない。&lt;br /&gt;
・・・何の血の繋がりもない、赤の他人である。&lt;br /&gt;
最初にきたのはレイド・・・それはつまり、シルヴィーが５７番目に切り殺した者の息子という意味でもある・・・。&lt;br /&gt;
その親の名前が『ダグラス』という名だったということも・・・シルヴィーは良く覚えている・・・。&lt;br /&gt;
思い返せば・・・初めて人を切り殺したのは、今よりもずっと前だと思い出せた・・・。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;br /&gt;
第七幕　　　　　　　了&lt;/p&gt;</description> 
      <link>https://hiverlaurant.blog.shinobi.jp/%E9%BB%8E%E6%98%8E%E5%B9%BB%E6%83%B3%E6%9B%B2/%E7%AC%AC%E4%B8%80%E7%AB%A0%E3%80%80%E3%80%80%E5%90%9F%E9%81%8A%E8%A9%A9%E4%BA%BA%E3%81%A8%E9%A8%8E%E5%A3%AB%E3%80%80%E3%80%80%E4%B8%83%E5%B9%95</link> 
    </item>
    <item>
      <title>第一章　　吟遊詩人と騎士　　六幕</title>
      <description>&lt;p&gt;シルヴィーは市場につくと、何を買おうかと頭を捻る。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;（・・・野菜はまだありましたね・・・足りないのは・・・。）&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そんな事を考えながら、日が傾きつつある町を歩く。&lt;br /&gt;
もうすぐ夕焼けといった感じの町並みは、夕飯の献立を考えながら買い物する主婦達であふれ帰っている。&lt;br /&gt;
そんな平和な世界を見つめながら、シルヴィーは今日買う物を決め、そちらへと歩を進めた。　&lt;br /&gt;
　　　　　　　　　　　　　　　　　&lt;br /&gt;
　　　　　　　　　　　　　　　　　・&lt;br /&gt;
　　　　　　　　　　　　　　　　　・&lt;br /&gt;
　　　　　　　　　　　　　　　　　・&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;シルヴィーの着いた先・・・そこは行きつけのパン屋だった。&lt;br /&gt;
『ギィ・・・』という音を立てるドアを開け中に入ると、そこにはカウンターがあり、その下に数々のパンが置かれている。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「いらっしゃいまし。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;優しい老婆の声が耳に入り、シルヴィーは目を見張る。&lt;br /&gt;
カウンターを見やれば、其処にはいつも居るはずの人物が居ない・・・其処にいたのは目の不自由な老婆だった。&lt;br /&gt;
普段であれば、自分が入ってきた途端、敵意を剥き出しにして自分を睨みつけてくる幼馴染なのに・・・とシルヴィーは現状を珍しい物として感じながら、籠の中に大きさの割りに安いフランスパンと、一番単価が安いライ麦パンを入れ、カウンターの前に座る老婆の前に優しく手渡した。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「これを頂きます。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「おや・・・その声は『シィちゃん』だねぇ。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;目が見えないのにも関わらず、老婆はそれを手に受け取り、優しそうに微笑みかけながら、彼女を昔の呼び名で呼んだ。&lt;br /&gt;
対するシルヴィーはやや頬を紅潮させながら俯き、本当に恥かしそうに喋りだす。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「あの・・・その呼ばれ方は・・・その、恥かしいです・・・。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「うふふ・・・私にとってはいつでも、しぃちゃんよ・・・。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;その声には嘘偽りの無い慈愛が込められ、シルヴィーは何やらくすぐったいものを感じた。&lt;br /&gt;
老婆は手際よく、籠の中のパンを紙袋の中に入れ始める。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「・・・いつも孫娘がごめんね・・・」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ふと、老婆からそんな言葉が漏れた。&lt;br /&gt;
シルヴィーはなんと答えていいのか少し悩んだが、やがて口を開いた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「いえ、良いんです・・・『仕方の無い事』ですから・・・。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;それは老婆を気遣う言葉であり、そして、自分自身への戒めでもあった。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「シィちゃん・・・『仕方の無い事』なんて無いのよ・・・。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;老婆はゆっくり話し始める。&lt;br /&gt;
それは、諭すような口調でも合った。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「・・・アレは、町の皆に一杯影響を与えたわ・・・でもね・・・いつまでもその事でシィちゃんがあんな目で見られるのは間違ってると思うの。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;老婆のそんな言葉を聞き、シルヴィーは俯いた。&lt;br /&gt;
あんな目・・・それは、いつでも人が自分を見る時の視線・・・。&lt;br /&gt;
畏怖・・・侮蔑・・・憎悪・・・殺意・・・ありとあらゆる感情がシルヴィーを貫いていく。&lt;br /&gt;
でも・・・と、シルヴィーは反抗しない。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;（・・・私は・・・それだけの事をしてしまいました・・・。）&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そう伝えようと思って、俯いた顔を上げる・・・そして、言葉が詰まった。&lt;br /&gt;
見上げた先に、老婆の優しい微笑みがあった。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「だから、一人で抱え込まなくて良いのよ・・・たとえ、皆が何と言おうと私の中の貴女は、あの頃と変わらないわ。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;老婆はそう言って、シルヴィーにパンをつめた紙袋を「はい」と差し出しながら&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「ね、シィちゃん。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ニコリと笑った。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「・・・ありがとうございます・・・リリアおばあさん。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;シルヴィーのお礼に「ふふっ」と老婆が笑い、それに釣られるようにシルヴィーも微笑んだ・・・。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　　　　　　　　　　　　　　　　　・&lt;br /&gt;
　　　　　　　　　　　　　　　　　・&lt;br /&gt;
　　　　　　　　　　　　　　　　　・&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;シルヴィーが店から出ると、外は夕方から夜へと移りつつあった。&lt;br /&gt;
辺りを見れば、人は先程よりも少なくなったのが分かる。&lt;br /&gt;
それが、皆自分の家に帰っていったという事なのだろうとシルヴィーは感じた。&lt;br /&gt;
そのまま、しばらくの間突っ立っていたが、やがてシルヴィーは足を踏み出した。&lt;br /&gt;
・・・自らの家へと。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　　　　　　　　　　　　　　　　　・&lt;br /&gt;
　　　　　　　　　　　　　　　　　・&lt;br /&gt;
　　　　　　　　　　　　　　　　　・&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;シルヴィーの今の家はスラム街の片隅にある。&lt;br /&gt;
ボロイ家ではあるが、まだ屋根などがあり、寝食が行えるだけマシと言う物でもある。&lt;br /&gt;
スラム街に住まう者の中には、そんな家すらない者だって沢山いるのである、その様な贅沢を言えば、それこそ贅沢という物である。&lt;br /&gt;
シルヴィーが家に着く頃、日はすっかり沈んでしまっていた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;（・・・調度、夕飯時です。）&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;空を見上げながら、シルヴィーは時間を確かた。&lt;br /&gt;
シルヴィーはパンの入った紙袋を片手にドアに手をかけ中に入った。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「ただいまです。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;br /&gt;
第六幕　　　　　　　了&lt;/p&gt;</description> 
      <link>https://hiverlaurant.blog.shinobi.jp/%E9%BB%8E%E6%98%8E%E5%B9%BB%E6%83%B3%E6%9B%B2/%E7%AC%AC%E4%B8%80%E7%AB%A0%E3%80%80%E3%80%80%E5%90%9F%E9%81%8A%E8%A9%A9%E4%BA%BA%E3%81%A8%E9%A8%8E%E5%A3%AB%E3%80%80%E3%80%80%E5%85%AD%E5%B9%95</link> 
    </item>
    <item>
      <title>第一章　　吟遊詩人と騎士　　五幕</title>
      <description>&lt;p&gt;一人待ちの雑踏を抜け裏道に入りながら封筒の中身を見る。&lt;br /&gt;
内容は実に簡潔、いつも通りの内容だった。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;（・・・スラム街・・・。）&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そこが今回の『仕事場』、シルヴィーは多少暗鬱な気分になりながらも、そちらへと足を進めていく。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;（・・・早く・・・終わらせましょう・・・。）&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;その目に冷たい光を宿し、目的の場所へと向かった。&lt;br /&gt;
　&lt;br /&gt;
　　　　　　　　　　　　　・&lt;br /&gt;
　　　　　　　　　　　　　・&lt;br /&gt;
　　　　　　　　　　　　　・&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;その頃、ティアは国立図書館へと来ていた。&lt;br /&gt;
ティア自身、この町を把握するために、まずココの地理を知っておかなければならない、というのは本人の弁である。&lt;br /&gt;
そんな訳でティアは早速支所の女性に話をかけた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「すいません、少しよろしいでしょうか？」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「はい、何か御用ですか？」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「この町の地図は置いてあるでしょうか？」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「地図でしたら、そこの階段を上りまして、手前のから三つ目の棚に御座います。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;史書の懇切丁寧な説明で場所を理解したティアは微笑を浮かべながら、「ありがとう御座います」と礼を言い、目的の物を見るために階段を上がっていた。&lt;br /&gt;
その後ろ姿を熱っぽい視線で史書が見ていたことにティアは気づいていなかった。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　　　　　　　　　　　　　・&lt;br /&gt;
　　　　　　　　　　　　　・&lt;br /&gt;
　　　　　　　　　　　　　・&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そこは薄暗い小屋の中。&lt;br /&gt;
蝋燭の灯火が揺らめくその部屋で、向かい合うように二人の男が座っていた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「・・・これを見ていただきたい。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;口頭一番、初老の男がトランクを取り出し、中を開いてみせる。&lt;br /&gt;
その中身を見ながら、ヒゲ面の男は「ふむ・・・」と声を出しヒゲを撫でた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「・・・これだけの金・・・何がお望みで？」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「受けて頂けるのかな？」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「内容によりますな。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ヒゲ面の男は、「もっとも・・・」と続けた&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「この盗賊ギルドに来るんだ、真っ当な内容ではあるまい？」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;初老の男性はその問いには答えず、事の内容を話し始める。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「町で国に対してのデモを起こして欲しい。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ヒゲ面の男は一瞬、神妙そうな顔をすると口を開いた&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「・・・して？デモなどを起こしてどうする。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「現・国王の不安を煽る。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「・・・そんな事をすれば、今の国王のことだ、また我々を含む平民に税と兵による圧力がかかるやも知れんぞ？」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;初老の男性はその言葉に笑みをこぼした。&lt;br /&gt;
それこそが真実だとでも言うように・・・&lt;br /&gt;
それを見たヒゲ面の男も、今回の真の目的を悟ったようだった。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「なるほど・・・つまり、この５年間の圧政によって民の不満が高まっている今にデモを起こして、さらなる過税をさせ民の怒りを爆発させる・・・そういう訳だな。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「ご名答、さすがはギルドの頭を務めてるだけはありますな。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「そう上げてくれるな・・・しかし・・・なるほど、だからこそのこの金額か。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;もう一度トランクを見る、そこへ初老の男の声が入った。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「これはあくまで前払い・・・成功した暁には、納税の削減、スラムの復興・・・どうですかな？」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「・・・。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ヒゲ面の男はやや沈黙した後&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「良いだろう。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;と答えた。&lt;br /&gt;
彼にとっても、今のこの国は生きにくい場所になりつつある、完全にだめになる前に手を打たねばと思っていた矢先のことだったので頷いたのである。&lt;br /&gt;
二人の男が契約成立としたところで密会が終了する・・・と思われた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「・・・残念ですが、その計画は今、この時を持って終えます。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;凛とした声が部屋に響き渡る。&lt;br /&gt;
ヒゲ面の男がいち早く反応し、武器を構え&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「何や―――――――――――――――」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;しかし言葉が最後まで続くことは無かった・・・何故なら&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;『ザン・・・・！！』&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;それよりも早く放たれた白刃がヒゲ面の男を切り裂いたからであった。&lt;br /&gt;
男は痛みを覚える事無く絶命し、その場に倒れ伏した。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「くっ・・・己！何者だ！！」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;護身用のサーベルを構え、初老の男が現れた影に叫んだ。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「・・・。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;影は答えない、ただ一歩・・・また一歩と初老の男に近づく。&lt;br /&gt;
やがて、ボウ・・と蝋燭の灯火が影の姿を淡く照らし出した。&lt;br /&gt;
その姿を初老の男性は知っている・・・。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「な・・・シル・・・ヴィー・・・・！！！」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「王宮貴族、ユルングルス・イーガル・・・貴殿の命、貰い受けます。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;『チャキ・・・』&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;刀を構え、シルヴィーはユルングルスを、その冷たい眼で捉える。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「な、何故だ！この計画が上手くいけば君も『スラム街』の住人としてではなく、一般市民として・・・！！」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「・・・私にそのような物は必要ありません。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;キッパリと口にした。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;（・・・そう・・・私にはあそこで守らねばならぬ物があります・・・。）&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;目を閉じ、ブレた心を集中させ、目の前のことに専念する。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「・・・く・・・ここまでか・・・！！」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「・・・貴殿には申し訳ありませんが・・・さようなら。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;その言葉が呟かれるのと同時に、シルヴィーの放つ白刃が閃いた。&lt;br /&gt;
自らの視界が真っ白になっていくのを感じながら、ユルングルスは意識を閉じた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　　　　　　　　　　　　　・&lt;br /&gt;
　　　　　　　　　　　　　・&lt;br /&gt;
　　　　　　　　　　　　　・&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「・・・・。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;シルヴィーは近くの川で刀に付着した返り血を拭き取ると、報告を行うためゼスカーの下へと訪れた。&lt;br /&gt;
事を報告するとゼスカーは一言「ご苦労だった。」とだけ言って下がらせた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「・・・。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;それがいつものパターンだった。&lt;br /&gt;
報告を終え、シルヴィーは溜息を一つ吐くと騎士団領を抜け市場へと向かった。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;第五幕　　　　　　　了&lt;/p&gt;</description> 
      <link>https://hiverlaurant.blog.shinobi.jp/%E9%BB%8E%E6%98%8E%E5%B9%BB%E6%83%B3%E6%9B%B2/%E7%AC%AC%E4%B8%80%E7%AB%A0%E3%80%80%E3%80%80%E5%90%9F%E9%81%8A%E8%A9%A9%E4%BA%BA%E3%81%A8%E9%A8%8E%E5%A3%AB%E3%80%80%E3%80%80%E4%BA%94%E5%B9%95</link> 
    </item>
    <item>
      <title>第一章　　吟遊詩人と騎士　　四幕</title>
      <description>&lt;p&gt;詩人は最後にもう一度、竪琴を鳴らし詩を終えた。&lt;br /&gt;
シルヴィーが気がつくと周りの者が涙を流しながら手を叩いているのに気がついた。&lt;br /&gt;
その中に自分も含まれていた事に、シルヴィーは後になって気がつく。&lt;br /&gt;
それは自分でも気がつかないほど、詩人の奏でる詩に惹き込まれていたのだと言う証拠でもあった。&lt;br /&gt;
詩人は姿勢を正すと、始まりの時と同じように帽子を手にとってお辞儀をした。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「皆様、この度は御清聴ありがとう御座います、本日はこれにて終了させていただきます。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;詩人の声にハッとした様に周囲の人々が、先ほどのシルヴィーよろしく涙を流していることに驚いているようだった。&lt;br /&gt;
観客達は一斉にお金を詩人の下に投げる、中には詩人の前に立って厳かに手渡す者さえいた。&lt;br /&gt;
シルヴィーも涙を拭い、お金を出そうとし&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「おい、兄さん・・・ちょっと待ちな！」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;その手が止まった。&lt;br /&gt;
前を見やれば詩人の前に身の丈２メートルと言ったところの厳つい男が立っていた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「兄さん、ちょいとお尋ねしたいんだが、誰の許可を得てココで演奏してるんだい？」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;見るからに柄の悪そうな男は詩人に荒々しく聞いていた。&lt;br /&gt;
しかし、服装はしっかりとしており、大方、没落貴族だと判断できる。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「付近の人に尋ね、ココでなら構わないと聞きましたので。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;対し、男の荒々しい声にまったく物怖じしていないのか、詩人は穏やかに答えを返した。&lt;br /&gt;
その顔には微笑の二文字しかない。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「じゃあ、覚えておくんだな。&lt;br /&gt;
この広場は私の管理している土地だ、当然、私の許可無くして商いは出来ん。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;男はそう言うと、詩人に送られたお金拾い集め、これは私の物だと言い出した。&lt;br /&gt;
当然のことだが、これを不満に思った観客達が男を責め立てた・・・が、しかし没落したと言えど貴族と平民。&lt;br /&gt;
貴族はそれを馬鹿にし、あろう事か&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「私の土地で私が何をしようと私の勝手だ。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;等とのたまい始める始末である。&lt;br /&gt;
だが、当然の事ながらその怒りを持っているのは力の無い平民だけではない。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;（・・・見ていられませんね。）&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;このシルヴィーも観客達と一緒だった。&lt;br /&gt;
シルヴィーは詩人にチラリと見て思う。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;（それに・・・この行為は観客だけではなく、何よりもあの詩人に対する侮辱だ。）&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;シルヴィーは人をかき分け、詩人と男の間に割って入った。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「それぐらいにしておく方が無難です。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;単刀直入、男が何かを言う前にシルヴィーは睨みつけながら言った。&lt;br /&gt;
男はいかにも不機嫌そうにシルヴィーを見ると、その顔をさらに歪める・・・ソレはまるで、汚物を見るかのような目だった。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「ちっ・・・何処の馬の骨かと思ったら・・・【異端者】か。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「貴殿は先程、この中央広場を私有地とおっしゃいましたね・・・その言葉に虚偽はありませんね？」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;シルヴィーは男の放つ悪態を黙殺し問い掛けた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「ああ、そうだとも。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;対する男も勝ち誇るように答えた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「なるほど・・・では、『誓約書』を拝見させていただきます。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「・・・は？」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「誓約書です、この地は王の所有地であらせられます。&lt;br /&gt;
故に、この中央広場の様な一般大衆用の施設を貴族に預ける場合、国王陛下勅命の誓約書にサインし双方が保管する仕組みになっています。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;すらすらとシルヴィーの口から説明が飛び出る、その勢いは留まることを知らない。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「また、この勅命が下るのは国王陛下の近親者、もしくは国王陛下に縁のある者とお見受けします。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そこに、男の反論の余地は許されない剣幕がある。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「ぬ・・・ぐ・・・！」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;男は旗色が悪いのか、かすかに呻き声をあげた。&lt;br /&gt;
しかし、それでもシルヴィーは止まらない。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「では、改めて誓約書を拝見させていただきます。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;至って平然と言い放ち、男の出方を待つ。&lt;br /&gt;
男はわずかに逡巡した後に口を開いた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「い・・・家に保管してある。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;その声は震えていた。&lt;br /&gt;
しかし、それと同時に男は希望も抱く。&lt;br /&gt;
家に帰れば誓約書の一つや二つ偽造することなど・・・男はそこに希望を抱いていた。&lt;br /&gt;
・・・だがしかし、現実はそう上手くいかないのが常である。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「では、家に保管してあるのですね？」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;シルヴィーが間髪いれずに確認を取る。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「くどいぞ！家にあるといった！！」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;シルヴィーは「なるほど・・・」と呟くと半眼で男を睨み上げた。&lt;br /&gt;
ここで、シルヴィーの『勝利』が確実な物となったからだ。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「では、お金を置いて今すぐお引取り願いましょう。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「な、何故だ！まだ誓約書を見ていな―――――――」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「・・・お分かりにならないんですね。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;やや呆れたようにシルヴィーが呟く、そこには侮蔑のような響きも含まれている。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「誓約書なんて存在しません。&lt;br /&gt;
ここは国民全ての物であり、個人の物ではないと法で定められてます。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;その言葉を聞いて男は今度こそ青ざめた。&lt;br /&gt;
カマをかけられたのだ・・・この異端者に・・・&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「い・・・【異端者】め・・・！！」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「お分かり頂けたのであれば、早急にお引取り下さい・・・不愉快です。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;丁寧口調による、明らかな侮蔑に男の頭が白くなりかける。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「こ・・・の！！」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;シルヴィーを殴ろうと構えた、その刹那。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;『シャラッ！！』&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;シルヴィーの刀が独特の抜刀音を奏で、男の首へと突きつけられた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「・・・今すぐ、その手にもったお金を置いて立ち去りなさい。&lt;br /&gt;
それは観客の物であり、ひいてはソレを送られた詩人殿のものです。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;半眼・・・視線だけでも切り付けられそうな殺気が男を襲った。&lt;br /&gt;
それでも何やら反抗しようとしている男を見て、さらに刀が数センチ動いた&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「もう一度だけ忠告します・・・お引き取りください。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;完全に切羽詰った男は何歩か後ずさると大口を開いて&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「この・・・化け物め！！」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;小悪党のようなお決まりの捨て台詞を吐いて、観客の人ごみの中に消えていった。&lt;br /&gt;
それを目で確認し、シルヴィーは「ふん・・・。」と鼻を鳴らして刀を鞘に収めた。&lt;br /&gt;
次にシルヴィーは、詩人や観客達に頭を下げた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「お騒がせして、申し訳ありませんでした。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;謝罪だった。&lt;br /&gt;
理由はどうあれ、この場を騒がせたのは自分でもある。&lt;br /&gt;
だが、やったこと自体は良いことだと言えるだろう・・・だが・・・どうだろう？&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「見て・・・あの髪・・・」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「・・・黒いわ・・・」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;労いの言葉どころか、逆に化物を見るかのような目で市民は見て・・・そして囁きあっていた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「【異端者】よ・・・！」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「汚らわしい・・・！！」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;町の人々はシルヴィーを避けるようにして、散り散りに町の雑踏の中に消えていった。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「・・・。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;シルヴィーは何も言わない・・・否、何も言えなかった。&lt;br /&gt;
このような目にあうのも・・・元はと言えば自分の所為なのだ・・・そう心の中で自重した。&lt;br /&gt;
シルヴィーがいい加減、頭を上げようかと思い始めたとき&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「・・・頭を上げて頂けませんか？」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;正面から詩人の声が聞こえた。&lt;br /&gt;
顔を上げれば、やはりそこには先程の詩人がいた。&lt;br /&gt;
その顔には、ずっと変化していないのでは無いだろうかと思うような微笑がある・・・&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;（・・・何か・・・今はその微笑がイラつきます。）&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;少々、ムッとした。&lt;br /&gt;
が、詩人はそれを気にせず、シルヴィーに話し掛けた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「助けていただき、ありがとうございます。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そう言って頭を下げたのだ。&lt;br /&gt;
これに驚いたのはシルヴィーだった。&lt;br /&gt;
礼を言われるとは多少ながらも思っていたが、まさか頭まで下げられるとは思っていなかったのである。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「いや、困った人を助けるのは当然のことです。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;シルヴィーがそう言って詩人の頭を上げさせると、詩人はやはり笑顔で口を開いた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「なるほど・・・では、助けて頂いたのですから、お礼を言うのも当然の事ではないでしょうか？」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「む・・・。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;詩人のもっともらしい言葉に思わず言葉を返せなくなった。&lt;br /&gt;
やがて、沈黙が気になったのか、再び詩人が口を開く。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「どうか・・・されましたか？」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「あ・・・いや、すみません、気にしないで下さい。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;（・・・思わず、考えてしまった・・・。）&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;すこし顔が赤くなるのを感じながら、シルヴィーはそれを隠そうと平静を装った。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「いえいえ・・・構いませんよ。&lt;br /&gt;
それで、何か御礼をしたいのですが・・・。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「え・・・？」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;（お礼？・・・誰が・・・・私が・・・？）&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;まさか、そんな事をしてもらう訳にもいかない。&lt;br /&gt;
シルヴィーは慌てて言葉を返す。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「そ、それには及びません・・・その・・・素晴らしい詩の視聴料とでも思ってください。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「・・・そうですか、分かりました。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;やや残念そうに答える詩人を見て、微妙に自分が罪悪感のような物を感じたシルヴィーだった。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「・・・では、私はこれで失礼します。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そう言って、シルヴィーはココから立ち去ることにした。&lt;br /&gt;
ココにいると、何故だか調子が狂う・・・そんな感じがしたからでもあった。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「お待ちください。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「・・・何か？」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;呼び止められ、シルヴィーは振り返った。&lt;br /&gt;
詩人はやはり微笑で話した&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「よろしければ、お名前を聞かせて頂けないでしょうか？」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「・・・人に名を尋ねるときは、まず自分から名乗るのが礼儀だと思います。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ややつっけんどんに返すシルヴィー。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「これは失礼しました・・・私のことは『ティア』とでもお呼びください。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;シルヴィーは、その丁寧な返しに頷くと自分も答えなければと姿勢を正した。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「私は、シカンダ王国　蘇芳騎士団　第六番隊　隊長　シルヴィー・ファランクスです。&lt;br /&gt;
それでは、失礼します。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;シルヴィーは今度こそ広場から離れた。&lt;br /&gt;
そして、ティアという名の詩人も呼び止めはしなかった・・・。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;四幕　　　　　　　　　了&lt;/p&gt;</description> 
      <link>https://hiverlaurant.blog.shinobi.jp/%E9%BB%8E%E6%98%8E%E5%B9%BB%E6%83%B3%E6%9B%B2/%E7%AC%AC%E4%B8%80%E7%AB%A0%E3%80%80%E3%80%80%E5%90%9F%E9%81%8A%E8%A9%A9%E4%BA%BA%E3%81%A8%E9%A8%8E%E5%A3%AB%E3%80%80%E3%80%80%E5%9B%9B%E5%B9%95</link> 
    </item>
    <item>
      <title>第一章　　吟遊詩人と騎士　　三幕</title>
      <description>&lt;p&gt;詩人の詩が竪琴の音色に合わせて静かに流れる&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;『・・・昔々、さる国に一つのサーカス団が有った。&lt;br /&gt;
そこには団長を始め、数多くの大道芸人が集まっていた。&lt;br /&gt;
彼らは、団長の指揮の下、日夜人々を楽しませ、笑顔にするためにその芸を披露した。&lt;br /&gt;
その中にたった一人、自由気ままに動くピエロがいた。&lt;br /&gt;
彼は普通の人とはすこし違っていた・・・ピエロは喋ることが出来ませんでした、そして彼は他の人達の言葉も理解することが出来なかったのです・・・。』&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;――――――――――――――ポロン。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;それは、詩という形で刻まれる、とある一人のピエロの物語り・・・。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;『しかし、それでもピエロは人気者でした。&lt;br /&gt;
彼は、団員一人一人がそれぞれが得意としていた芸を練習していました・・・その頑張る姿は団員一人一人がいつも見ていました。&lt;br /&gt;
・・・ある時、皆は気づきました。&lt;br /&gt;
彼はいつでも笑顔だったのです・・・そして、それはつまり、彼がそれ以外の表情を知らないという意味でもあったのです。&lt;br /&gt;
彼はいつも、いつでも皆の劇を練習しました・・・それをやる以外、彼は何も知りませんでした。&lt;br /&gt;
それでも・・・そうだとしても、ピエロは皆から可愛がられていました。&lt;br /&gt;
皆にとって、彼は自分達のとって大切で大好きな家族だったのですから・・・。』&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;――――――――――――――ポロン&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;詩という形で刻まれてくピエロの生涯・・・それは、詩を聞くものたちに唯の言葉よりも明確に心に浸透していった。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;『そんなある日のことだった・・・ピエロが流行り病に倒れたのは・・・。&lt;br /&gt;
皆は交代で休む事無く、彼を看病した・・・そのような日が何日・何十日と続いた・・・。&lt;br /&gt;
だが、流行り病は一向に治ることはありませんでした・・・。&lt;br /&gt;
そして・・・ある日、朝日が昇る頃・・・ピエロは静かに息を引き取りました。』&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;――――――――――――――ポロン&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;『それからと言うもの・・・団員達はろくに食事も喉に通らないほど嘆きました。&lt;br /&gt;
嘆き、嘆いて、嘆き続けた・・・。&lt;br /&gt;
ある夜のこと・・・団長はサーカスの舞台の方でなにやら物音がするのを聞きました。&lt;br /&gt;
皆は疲れて眠ってしまってるはずなのに聞こえる物音に、団長は泥棒かと思って忍び足で舞台の方に向かいました。&lt;br /&gt;
そっと・・・舞台を覗くと、そこには団長の予想を遥かに裏切った光景が広がっていました。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;・・・そこには亡くなった筈の、あのピエロがいたのです。&lt;br /&gt;
団長は驚きの余り腰を抜かしてしまいました、しかし、ピエロは聞こえていないのか、何やらずっと動き回っていました・・・。&lt;br /&gt;
それを見て、団長はハッ・・・としました。&lt;br /&gt;
そう・・・ピエロは練習をしていたのです。&lt;br /&gt;
ピエロが団員一人一人から教えてもらった芸を、彼は一人で練習をしているのです・・・。&lt;br /&gt;
やがて、物音で目を覚ました団員達が起きてきました。&lt;br /&gt;
そして、彼らは一様にソレを見て驚きました・・・ピエロが幽霊になっても練習をしているその光景を目にして・・・。&lt;br /&gt;
団員の一人は、その姿を見ていられず、ピエロを止めに・・・休ませようとして・・・団長に止められました。&lt;br /&gt;
団長は黙って見ているように言いました・・・やがて、ピエロは全ての芸を終えたのか、軽やかに地に立つと、ゆっくりとお辞儀をしたのである・・・まるで、そこに大勢の観客が居るかのように・・・。&lt;br /&gt;
ソレを見た、団長たちはやがて目を見合わせあうと、とある準備をし始めたのです・・・何故なら、彼らはその心にある決意をしていたのですから・・・。』&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;――――――――――――――ポロン&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;『ソレから、しばらくたった、ある夜の事です。&lt;br /&gt;
またピエロは一人舞台の上に立っていました・・・。&lt;br /&gt;
ピエロはいつもと同じく、サーカスの中央、団長が立つお立ち台に上り、お辞儀をしました・・・。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;・・・すると。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;サーカス全体に蝋燭の灯火が・・・タイマツの明かりが灯ったのです。&lt;br /&gt;
その輝きが舞台を照らし出しました。&lt;br /&gt;
ソレと同時に、ピエロの見上げる観客席に多くの人々が集まっていました。&lt;br /&gt;
夜中の町を包む大きな拍手・・・それをピエロは見つめていました・・・それは驚いているようにも見えます。&lt;br /&gt;
ピエロがふと自分の背後を振り返りました。&lt;br /&gt;
そこに立っていたのは自分の家族達・・・団長が・・・仲間達が立っていました。&lt;br /&gt;
皆、笑顔で拍手をしているのをピエロは見ました。&lt;br /&gt;
その笑顔は自分に『大丈夫！』と励ます様に・・・『頑張れ！』と背中を押すように言っているようでした。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;団長達はあの時から今日この日まで、ピエロの為に走り続けてきました。&lt;br /&gt;
唯、物言わぬ彼のたった一つの願いをかなえるために・・・。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;やがて、ピエロは一瞬・・・ほんの一瞬うつむくと、パッと顔と両手をあげ、クルッとその場で周囲を見渡すように周るとサーカスショーを始めました。』&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;――――――――――――――ポロン&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;『それから、夜を通してピエロをが主人公のサーカスショーを繰り広げました。&lt;br /&gt;
まるで、夢の様な一夜の出来事でした・・・しかし、どのようなモノにも始まりがある様に、終わりが訪れます。&lt;br /&gt;
ついに、最後のショー・・・ピエロと団員・動物達のパレードも終わりを告げました。&lt;br /&gt;
壮大な拍手に包まれ・・・ピエロは嬉しそうに両手を挙げて、自分を囲む全ての人達に応えました。&lt;br /&gt;
そして、夜明けの時がきました・・・その時、その場にいる全ての人達が見つめる中でピエロの体が&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　　　　　　　　キラキラ　　　　　　　　　　　　&lt;br /&gt;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　キラキラ&lt;br /&gt;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　キラキラ&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;と、光の粒子となって天へと上り始めたのです。&lt;br /&gt;
その姿を見つめながら、団長や仲間達は拍手で見送ります・・・中には、涙を流す物もいました・・・しかし、それでも笑顔でピエロを拍手と共に見送ります。&lt;br /&gt;
ピエロの姿が夜明けの光に包まれ霞んで消えゆく、最後の瞬間・・・ピエロは団長や仲間達の方へ振り向き、その笑顔を向けました・・・&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そして、それを見ました。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;開かれることの無かった口が何かを紡いだ・・・&lt;br /&gt;
ほとんど霞んで見えない体で・・・その手を大きく振った・・・。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;br /&gt;
――――――――――――――――バイバイ――――――――――――――――&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;br /&gt;
鳴り止まない拍手がいつまでも・・・いつまでも・・・ピエロの為に鳴り響きました・・・。』&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;br /&gt;
三幕　　　　　　　　　了&lt;/p&gt;</description> 
      <link>https://hiverlaurant.blog.shinobi.jp/%E9%BB%8E%E6%98%8E%E5%B9%BB%E6%83%B3%E6%9B%B2/%E7%AC%AC%E4%B8%80%E7%AB%A0%E3%80%80%E3%80%80%E5%90%9F%E9%81%8A%E8%A9%A9%E4%BA%BA%E3%81%A8%E9%A8%8E%E5%A3%AB%E3%80%80%E3%80%80%E4%B8%89%E5%B9%95</link> 
    </item>
    <item>
      <title>第一章　　吟遊詩人と騎士　 　ニ幕 </title>
      <description>&lt;p&gt;シカンダ・中興噴水広場。&lt;br /&gt;
そこは、このシカンダという城下町の中央に位置する、文字通り噴水広場である。&lt;br /&gt;
シルヴィーは騎士団領を抜けて、食事処を探すために市場に近い、この噴水広場まで来ていた。&lt;br /&gt;
この町は、このシカンダという国の首都であり、海に面している事もあってか非常にモノの流通が激しい。&lt;br /&gt;
故に、海に近づけば近づくほど料理店なども多いのである。&lt;br /&gt;
シカンダ自身、この中央広場を中心とし、東にスラム街、南に港、兼市場、西に住宅街、北に王城と展開している。&lt;br /&gt;
また、住宅街は王城に近づけば近づく程、身分の高い者達、港に近づけば近づくほど、身分の低い物と成っている。&lt;br /&gt;
どのような国にも、それが王制という立場を取っている以上は貧困の差は避けられる物ではないのである。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;（さて・・・どこに行きましょう・・・。）&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そんな事を考えながら歩いていると、噴水の前に大きな人だかりが出来ているのに気づいた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;（・・・何事です？）&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;シルヴィーは何となくその人だかりが気になり近づいてみることにした。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　　　　　　　　　　　　　　　・&lt;br /&gt;
　　　　　　　　　　　　　　　・&lt;br /&gt;
　　　　　　　　　　　　　　　・&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;近づくと予想よりも人が多くて、中心でなにが起きているのか把握することは出来なかった。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「これは何事です？」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;シルヴィーは近くに居た青年に話し掛ける。&lt;br /&gt;
青年は相当興奮しているのか、シルヴィーの方には振り向かずに答える&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「吟遊詩人だよ！次で最後みたいだけど・・・！！」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;息荒く答えると、青年はもっと近くで見たいのか、人を掻き分け前の方へ突き進んでいった。&lt;br /&gt;
シルヴィーはそんな青年の姿を見送りながら&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;（詩人ですか・・・祭の季節でもないのに珍しいですね・・・。）&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;と考え&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;（ものはついでですね、少し見ていきましょう。）&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;シルヴィーは「すまない、通してください。」と言いながら人だかりを抜けて最前列へと向かった。&lt;br /&gt;
やがて、人だかりを抜けるとそこには一人の男性が居た。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　　　　　　　　　　　　　　　・&lt;br /&gt;
　　　　　　　　　　　　　　　・&lt;br /&gt;
　　　　　　　　　　　　　　　・&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;噴水の縁に腰掛け、よっぽど大事にしているのか、それとも新品なのか良く分からない竪琴を調律していた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;（・・・アレは・・・相当使い込んでいます。）&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;シルヴィーはやや遠目ではあるが、それが分かった。&lt;br /&gt;
剣や刀という物は使い込めば使い込むほど、その握っている部分が磨り減ったり跡が出来たりしてくる。&lt;br /&gt;
他の者はどうかは知らないが、シルヴィーには、いつもそこを持って音を奏でているであろう跡が見て取れた。&lt;br /&gt;
それを調律している詩人は帽子で顔は見えないが、口元が緩み、微笑んでいるように見えた。&lt;br /&gt;
それを実ながらシルヴィーは&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;（・・・楽しそうに調律をしていますね。）&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;という感想をだした。&lt;br /&gt;
やがて調律が終わったのか、おもむろに立ち上がる。&lt;br /&gt;
たったそれだけの動作なのに、それはとても洗練された、一種の舞のように見えた。&lt;br /&gt;
周りの人たちが一気に騒ぎ始める、シルヴィーが「よっぽど楽しみなのですね。」等と考えていると、詩人は左手で帽子を取り、それを胸に抱えお辞儀をした、いわゆる丁寧な挨拶だった。&lt;br /&gt;
帽子からこぼれ落ちた、少し長めの髪は限りなく白に近い金色をしていた、女のものかと見間違うほどそれは、手入れをしているのか長いにもかかわらず高貴な印象を与えていた。&lt;br /&gt;
顔をあげる、顔つきは非常に整っており、その微笑が人を惹きつける何かをかもし出していた。&lt;br /&gt;
・・・が、そんな事よりも違うことがシルヴィーは気になっていた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;（・・・盲目・・・？・・・それとも、単なる細目？・・・どっちにしても、目を瞑っているようにしか見えません・・・）&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;くだらない事かも知れないが、シルヴィーが一番気になっているのはそんなことだった。&lt;br /&gt;
詩人は再び帽子をかぶると、竪琴を鳴らした。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;『――――――――――――――――。』&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;綺麗な『音』が包む・・・否、その程度ではすまなかった。&lt;br /&gt;
人々の喧騒が、文字通り『消えた』&lt;br /&gt;
シルヴィーはその詩人の奏で出した音が、今この空間全てを支配しているような・・・そんな錯覚を受けていた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「・・・皆様、大変お待たせ致しました。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;男の声が、その空間に響き渡る。&lt;br /&gt;
勇ましく荒々しい声でも、女のようになよなよとした声でもない。&lt;br /&gt;
それは・・・そう、とても澄んだ・・・まるで流水の様な綺麗な声だった。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「今から詩いますは、悲劇にして喜劇、とあるピエロの詩で御座います。」&lt;br /&gt;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 &lt;font color=&quot;#999999&quot;&gt;&lt;sup&gt;ものがたり&lt;/sup&gt;&lt;br /&gt;
&lt;/font&gt;そう言うと竪琴が再び、詩人の手によって奏でられ始めた・・・。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;br /&gt;
ニ幕　　　　　　　　了　&lt;/p&gt;</description> 
      <link>https://hiverlaurant.blog.shinobi.jp/%E9%BB%8E%E6%98%8E%E5%B9%BB%E6%83%B3%E6%9B%B2/%E7%AC%AC%E4%B8%80%E7%AB%A0%E3%80%80%E3%80%80%E5%90%9F%E9%81%8A%E8%A9%A9%E4%BA%BA%E3%81%A8%E9%A8%8E%E5%A3%AB%E3%80%80%20%E3%80%80%E3%83%8B%E5%B9%95%20</link> 
    </item>
    <item>
      <title>第一章　　吟遊詩人と騎士　  　一幕</title>
      <description>&lt;p&gt;西大陸グロッグ、シカンダ王国・・・そこに今一艘の船が港につく。&lt;br /&gt;
船から客が一人、また一人と降りてくる、その中に一人普通とは違う服装をした者がいた。&lt;br /&gt;
ゆったりとした服に大きな外套の様なコート、極めつけに羽根突き帽子。&lt;br /&gt;
明らかに他の人とは違う服装だった。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「・・・ふむ・・・ここが『シカンダ』ですか・・・。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;船から降り立った、異国の服をまとった男は周囲を見渡しながら呟く。&lt;br /&gt;
賑やかな港の雰囲気を体で感じ、男は心が高鳴るのを感じた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「はてさて、ここではどんな『音』が聞けるのでしょう。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;大事な羽根突き帽子をクイッと上げ、綺麗な青空を見上げると太陽の眩しさに細めをさらに細めた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「・・・さて、そろそろ行きましょうか。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;男は誰に話すわけでもなく呟き歩き始めた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　　　　　　　　　　　　・&lt;br /&gt;
　　　　　　　　　　　　・&lt;br /&gt;
　　　　　　　　　　　　・&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「そろそろ昼時・・・ですね。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;軽鎧に身を包んだ騎士が執務室の窓から澄んだ青空を見上げて一人ごちた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;（・・・昼食がてら見回りもいいですね。）&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「・・よし。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;少し時間を考慮した後、行くことに決めた。&lt;br /&gt;
だが、イスから立ち上がると、部下から声を掛けられた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「あれ？お出かけですか、シルヴィー様？」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;シルヴィー・ファランクス、それが騎士の名前である。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「ええ、昼食がてら見回りをしてきます、夕刻には戻ります。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;女性でありながら騎士隊長を勤める彼女は身だしなみを整えながら答えた&lt;br /&gt;
刀と脇差を腰に着けると、それは騎士というよりも侍のように見える。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「え、では、今日のおやつのカステラは私が頂いても良いですか！？」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;溢れるよだれを拭いながら部下の青年騎士はシルヴィーに問い掛けた。&lt;br /&gt;
問い掛けられたシルヴィーはやや呆れたような表情をしている。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「・・・貴公は本当に甘い物に目がありませんね・・・ビル。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「あはは、よく言われます。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ビルは照れ笑いを浮かべる。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「構いません、好きなように処分してください。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;溜息混じりにシルヴィーがそう言うと&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「よっしゃ、もうけ！！」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;と、ビルは子どものように喜んだ。&lt;br /&gt;
そんなビルの様子を見ながら、ビルはまだ騎士に成りたてだったということを思い出した。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;（私よりも２歳年下ですから・・・１９ですか。）&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ふとそんな事を考えていると、まだ一つ持ってない物があった事を思い出す。&lt;br /&gt;
シルヴィーは自分の机の引き出しから古びたハーモニカを取り出した。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「・・・それ、いつもお持ちですが大事な品なんですか？」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「ええ、とても。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そう返しながら、ハーモニカを懐にしまい部屋を出ようとし&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「あ、そういえば団長がお呼びでしたよ？」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「団長が？」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;（・・・また・・・か・・・）&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「報告ありがとう、では失礼します。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;シルヴィーは軽く会釈をし団長室へと足を向けた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　　　　　　　　　　　　・&lt;br /&gt;
　　　　　　　　　　　　・&lt;br /&gt;
　　　　　　　　　　　　・&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;『コンコン』&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ノックの音が部屋に響き渡る、間を開けずに男の声が響く&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「誰だ。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「シカンダ王国　蘇芳騎士団　第六番隊　隊長、シルヴィー・ファランクスです。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「シルヴィーか、入れ。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「失礼します。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;シルヴィーが中に入り敬礼する。&lt;br /&gt;
その様子を部屋の主、騎士団長、ゼスカー・フォルスマンはイスに座りながら、嘗め回すような視線で見ていた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「今回はどういった御用件ですか。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;シルヴィーはその視線を黙殺し、静かに聴いた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「新しい『仕事』が入った、場所は東地区・スラム街だ、詳細はこれに記してある。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そう言ってゼスカーは一枚の封筒を取り出した。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;（・・・仕事・・・か・・・。）&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;シルヴィーは封筒を受け取ろうとし手を伸ばすと、封筒を受け取った瞬間に手首を掴まれ手前へと引っ張られた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;（っ！？）&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ゼスカーは前か鏡になったシルヴィーに顔を近づけ耳の口を寄せる。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「・・・期待しているぞ？」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;ゼスカーはそう囁き、ぬらり・・・とシルヴィーの耳朶を舐め上げた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「――――――――っ！？」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;シルヴィーは反射的に上体を起こし、間髪いれずに声を出す&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「では、失礼しました。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;早急に告げると、部屋から逃げるように飛び出した。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;　　　　　　　　　　　　・&lt;br /&gt;
　　　　　　　　　　　　・&lt;br /&gt;
　　　　　　　　　　　　・&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「・・・っ・・・はぁ・・・はぁ・・・！！」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;シルヴィーは先ほど舐められた感触や首筋にかかる熱っぽい息などから来る嫌悪感を拭い去るため、耳から首筋にかけて腕でゴシゴシと擦る。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;「・・・ちっ・・・。」&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;シルヴィーはこの国では有り得ない、母譲りである自慢の漆黒色の髪を手グシでサッと梳かし外へ出た。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;『サァァァァァ・・・・』&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;そよ風が優しく頬を撫でる・・・その風に揺られるように、シルヴィーの長い黒髪がたなびいた。&lt;br /&gt;
その感覚にシルヴィーは、少しくすぐったがる様に目を細めた。&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&amp;nbsp;&lt;/p&gt;
&lt;p&gt;&lt;br /&gt;
一幕　　　　了&lt;/p&gt;</description> 
      <link>https://hiverlaurant.blog.shinobi.jp/%E9%BB%8E%E6%98%8E%E5%B9%BB%E6%83%B3%E6%9B%B2/%E7%AC%AC%E4%B8%80%E7%AB%A0%E3%80%80%E3%80%80%E5%90%9F%E9%81%8A%E8%A9%A9%E4%BA%BA%E3%81%A8%E9%A8%8E%E5%A3%AB%E3%80%80%20%20%E3%80%80%E4%B8%80%E5%B9%95</link> 
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